PROJECT STORY #02
お客様のご要望から生まれた新製品
「セーフティーコマンダ」
Overview / 概要
生産現場のタブレットに安全機能をプラス
進む生産現場へのタブレット導入にIDECの安全を
セーフティーコマンダとは、市販のタブレットに安全機器を簡単に取り付けることができるタブレットホルダーです。近年、生産現場のロボットなどの操作制御にタブレットを活用するケースが増えています。しかしタブレットだけで制御をするのは危険であり、またISO/IEC(※)の安全規格でも、機械をすぐに止めることができるよう非常停止用押ボタンスイッチや3ポジションイネーブルスイッチなどの安全機器の搭載が要求されています。今後増えていくであろう、時代に沿ったお客さまの二ーズを汲み取った製品開発に挑戦した社員たちのストーリーです。
(※)ISO/IEC=国際標準化機構/国際電気標準会議
Project member プロジェクトメンバー
-
企画職
製品戦略企画本部
スイッチ事業戦略部 -
開発職
製品開発本部 機器製品開発部
筐体技術グループ -
生産職
生産SCM本部 生産技術センター
生産設備統括グループ
PROJECT STORY.01

お客様の期待に応えるべく、時代の流れに沿った新製品を試作
あるお客さまから「市販のタブレットに安全機器を搭載できるタブレットホルダーを作って欲しい」と依頼を受けたのが製品開発の第一歩でした。タブレットは、従来の制御パネルよりも汎用性が高く且つ安価ですが、安全機器がないため、そのまま使用することは危険リスクが伴います。ではタブレットに安全機器をどうやって取り付けたらよいが大きな課題になります。
「タッチパネル式の表示器も主力商品として販売しているIDECとしては、タブレットの普及を後押しする製品を開発することには少し躊躇いがあった。」と企画担当者は言います。しかし、お客様は非常停止用押ボタンスイッチや3ポジションイネーブルスイッチなどIDECの安全機器を信頼して依頼して下さっているという期待に応えるため、試作を開始しました。
この試作品を、産業展示会で展示すると、「タブレットを機械制御に使うことを検討していたが、安全面で活用を躊躇っていた。」「こんな製品を待っていた。」など予想以上の反響がありました。この反響により今後ますます伸びていく市場であることを確信し、「HT3P形セーフティーコマンダ」として製品化・発売しました。
PROJECT STORY.02

更なるニーズにお応えするために、改良版の新型「HT4P形」を制作・発売

HT3P形を発売して2年弱、お客様からは、満足のお声と共に「有線LANで通信させたい、メカニカルスイッチを搭載して欲しい、大型タブレットも付けたい」などの更なるニーズも飛んできました。これらの要求に対応するため、新型のセーフティーコマンダ「HT4P形」を開発することとなりました。
発売前からPRを行い、多くの引き合いをいただき、お客様から「早くほしい」とご要望いただいたこともあって、先行して試作サンプルを販売することになりました。大好評をいただき、発売後も順調に注文が増えています。
PROJECT STORY.03

発想の転換により重さを感じさせない手段を確立
加えて安全性も両立した製品仕様に。
「大型タブレットにも対応できる」というお客さまのニーズを満たすための壁は「重さ」でした。多少の差異はあれど、タブレットそのものが約500g、堅牢タイプのモデルだと約1kg近くあるため、「いかにこの重量を軽く感じさせ、作業者に負担を掛けないか」がポイントでした。そこで設計者は、タブレットを“手で持つ”から“腕に載せる”と発想を転換、「重さ」に対抗する手段を確立しました。
また、重さ故に非常停止用押ボタンスイッチを確実に押せないことがあってはなりません。安全性も両立するため、タブレットを持つ手(支える手)が支点になる位置に非常停止用押ボタンスイッチを取り付けました。タブレットは縦でも横でも操作できる必要があるため、画面の方向を変えても支点は変わらないよう幾度も試作・実験を繰り返し、ついに確実にスイッチを押せる仕様にたどり着きました。
PROJECT STORY.04

セーフティーコマンダの今後と担当者の声

現状、多数の企業様より引き合いや受注をいただいております。FA業界でのタブレットの普及に伴い、益々この製品の活躍の幅が広がると予想しています。
「今まで世の中になかった製品を作れたことが何よりも嬉しい。誇りを持てる製品です!」と企画担当者は語ります。
また、この製品を設計した設計担当者は、「今まで担当していた製品とは毛色が違ったため、最初はたくさん苦労しましたが、その分自分の成長にも繋がったので、本製品の設計に携われて良かった」と話していました。
「検査工程に時間がかかり、バリエーションも多いため苦労させられる製品です。しかし、実際に使用することもある生産現場での二ーズを汲み取れることができ、結果として、自分たちのため、更なる進化のため、お客さまのため…全てに繋がります。「検査ガンバリマス!」と話す検査担当者。
社内の努力の結晶によって生まれたのが、このセーフティコマンダなのです。
本製品が生産現場に普及することで、従来の操作端末の使用に抵抗があった女性や外国人の方などが、タブレットの操作性や表現力(多言語表示)によって、ものづくり現場で働きやすくなり労働人口の減少という社会課題の解決にも繋がると考えている、 今後も、安全・安心はもちろん、さらにその先の社会課題の解決、ウェルビーイングの実現も考慮した製品開発を行っていきたいと考えているそうです。
